新型コロナ騒ぎがなければ、建築関係でお客様をご案内する予定でした。それに備えて、たまたまブックオフで見かけた際に買っていた本書を読了しました。
コンパクトながら、京都の近代建築について網羅していました。著者は新聞連載であるため説明不足な部分があるやもしれないといった危惧を前書きに記していましたが、むしろ一つ一つの見出しの短さゆえに、京都という都市が持つ特徴を常に読者に意識づけることに成功していると思います。
個人的に建築には明るくない、それも近代建築となれば、おもしろいとは感じるものの、それをガイディングに活かすことがいまいちうまくできないでいたのですが、個々の建築を取り上げて解説しようとするからそれが難しいのであって、日本の近代という時代が何を要請したのか、という視点であれば太刀打ちできそうな示唆を得ることができ、大変有意義な一冊でした。
ガイドでありながら、私は観光地そのもの、建造物そのものを解説することに苦手意識がかなりあり、通訳案内士という外国人向けのガイドであるが故、やはり日本史の中における役割や、意義を伝えられるべき、と免罪符のように思っているのですが、対・近代建築というと現前に存在する建物そのものが何よりも意識されるように思っていました。それは近代建築を流れとして捉えられていなかったからなのだと認識を新たにしました。
もっと勉強します。