月別アーカイブ: 2020年4月

『化粧の日本史 美意識の移りかわり』山村博美

海外のお客様をご案内中、女性の方から意外と聞かれるのが「どうして日本人は肌がきれいなの?」「どうしてfairly whiteなの?」ということです。また、一般人の美白意識だけではなく、芸者/芸妓・舞妓や歌舞伎についてご説明するときも「どうしてあんなに白いのか」という声が聞かれることでしょう。

まず、美意識が時代によって変遷したことを伝える必要があります。これは何も日本に限ったことではなく、世界各地でみられることです。その上で、日本では伝統と現代がうまく同居していることを伝えられると面白みのあるものになるでしょう。

お歯黒やまゆ墨など、浮世絵に典型的に見られるような女性の化粧だけでなく、男性の化粧についても話題は尽きません。なお、注意するべきなのは、お歯黒や眉のそり落としなどは典型的に野蛮さや未開さ、醜さに捉えられがちであるということを念頭においておく必要性です。あくまで「美意識」は社会が規定されるものであったということで、現代の我々も何らかの醜さを背負っているという理解なしには、通訳ガイドとして「日本人が何を美しいと思ってきたのか」を伝えたとは到底言えないと私は考えます。

『魂と無常』竹内整一

以前読んだ『日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか』は図書館で借りましたが、前後する形で読書リストとして積んでおりました。自分の興味がこのあたりにあるということがよくわかります。

死生観はツアーの中核に据えるにも、大変面白いテーマのひとつです。と同時に、まとめ方が非常に難しいものでもあります。おおよそ人間というものは自分が生きてきた範囲内を是として思考するものですから、どうしても誤解や勘違いを生む危険も孕みます。日本人の「死」と「死後」の考え方が外国のそれと大きく違ったときに、相手の考えを否定することなくひとつとして提示できるかどうかは語彙力・コミュニケーション力ともにガイディングの醍醐味です。

さて、本書で注目したいのは、最終章の「徒然草」について考察を加えているところでしょう。「つれづれ」とは一体どんな状態なのか。近頃はマインドフルネスやヨガでも注目を浴びていますが、「今ここ」に感覚と意識を集中させる生き方は一生懸命であるとともに余裕のある生き方で望ましいとされてきました。がむしゃらであることと、心にゆとりを持つことが相反しない考えであることが文化に通底していることが解説できれば、禅やお茶・お花についての深い理解へとつながることと思います。

COVID-19によせる通訳案内士のひとりごと

すっかり新型コロナウイルスで世界が様変わりしてしまいました。個人的には1月末から感染リスク(自分が感染する・感染させるリスクともに)を考え行動をしていたのですが、あまりにも世間の動きが遅かったなと思います。

観光業としては痛恨の一撃というところでしょうか。桜の繁忙期に重なってしまったのは不運としか言いようがありません。医学的な知見や天災による回復の知見を持っているわけではないので、確定的なことは申し上げるに至りませんが、私見では秋も厳しいのではないかと思っています。

こうなると、いかにして食つなぐかというのが深刻な問題です。通訳案内士として資格を持っている以上は、最低限の英語スキルがあるはずですから、英語講師という道を考えた方もいらっしゃるでしょう。しかし、塾の閉鎖もありなかなか厳しいようです。

オンライン英会話講師を以前やっていたことがありますが、一人ひとりきめ細かいサービスの提供にやりがいを感じることができれば当面はどうにかなるでしょう。ただし、最初は予約コマ数も少なく、苦戦するかもしれません。

何事も継続こそが大切であるには変わらず、にわかで参戦するには不利なことこの上なく、いずれにせよ辛い局面になりそうです。