近頃小説ばかりだったので、そろそろガイディングに繋がるものを…と思いながら本屋をぶらぶらしていたときに見つけました。2019/06/20第一刷発行とのことで、新しい本です。
今は2章まで読みました。疲れていて全然頭に入って来ず、ナメクジよりは早いけど、ヤドカリくらいの速度なのですが、面白そうです。
地獄になぜ人は惹かれるのか、というところから出発しています。
ちょっと気力がなさ過ぎて、途切れ途切れになってしまっているので読み間違えていないことを祈るばかりですが、我々人間のもつ抑圧が、地獄を魅力的なものに仕立て上げるということです。それから、地獄へ向かう道の二面性にも触れていました。例えば、前者については生と性の誘惑、後者については三途の川は死後の世界へ向かう道でありながら逢瀬の場でもあること、脱衣婆は恐ろしい存在でありながら山の神として福をもたらすことが挙げられていました。
人間が多面的であることを踏まえ、地獄が人間の作り出した世界であることを鑑みるに、地獄そのものが二面性を獲得するのは不思議ではないのかもしれません。一点気になったのは西洋の地獄がどのようであるのか、ということです。
あくまでこれは私の仮説で、全く確かな根拠はないのですが、輪廻があるわけではないこと、及び二元論の発想から、地獄=悪、天国=善と美しく分離され、地獄に誘惑がある可能性はないのではないでしょうか。日本、ひいては仏教国では、死は輪廻の一部でしかなかったこと、前世が来世を規定するということが多種多様な地獄を作り出したように思います。それゆえ説話や絵巻で多彩な想像力を働かせて地獄が描かれることが多いのかもしれません。そこには煩悩に負けてはならないことを説く目的で、地獄の恐ろしさを伝えんとしたがために、かえって興味を引き立てたという働きがあったはずです。「絶対に見たらだめよ」と言われると見たくなるのに似ています。西洋イコンが地獄を強調しているのはあまり想像がつきません。
ただしダンテ『神曲』においては数種類の地獄が定義されていたはずです。このあたりについては折を見てリサーチしてみます。